小学校入学以降


H15年4月〜 学区内の小学校(情緒障害児学級「ひまわり学級」)へ入学

 前の年の教育委員会の進路相談では養護学校を進められましたが、学区内の小学校の
選択に迷いはありませんでした。
 担任の先生は この年転任してきた中年の男性の先生でS先生。前の学校でも特殊学級
を担任していたということでした。初めて会った時、愛情いっぱいのまなざしで希を見つめて
くださる先生だな、という印象を持ちました。


 学校での様子は私の期待を全く裏切ることなく、まるで希のために神様が準備して下さった
先生のように、S先生はじっくりと忍耐と寛容を持って希に関わって下さいました。
 情緒障害児学級は希の他に4年生の男の子だけで、2人だけのクラスということも幸いして
1年生のうちの前半は先生が希に集中的に関わって下さいました。1日の流れが全くわから
ず次の作業に移る度に、じだんだ踏んで混乱する希にS先生も当初はずいぶん面食らった
様子でしたが朝の会を帯状にとったり、生活スタイルをパターン化させることや写真で次の行
動を示していくことで、次第に学校生活を楽しんでいけるようになっていきました。中でも動物
好きの希が飼育小屋へ行く時間をたくさんとってくれたことや、大好きな本読みの時間を図書
室等で充分にとってくれたことで、望みは安定して過ごすことができるようになったと思います。
 新しいパズルや線引きにチャレンジさせてくれたり、図画工作では様々な感触の教材を使っ
て取り組んでくださいました。
 自由にする時間・集中する時間を希の様子を見ながら配分してくれたことが、ストレスをため
させずに楽しくすごせる要因になったと思っています。


 しかしながら逆にS先生が不在の時には、なかなか他の先生では希に対応できず、1日中
飼育小屋で過ごした日もあり、学校全体での受け入れという面では不安を拭えずにいたのは
確かです。また、希1人にばかりS先生の手がとられているという面からも、希の1つ1つの行
動にまだまだ沢山の指導の必要性を感じ、冬頃には随分養護学校の選択も考えました。
 そんな中でしたが、S先生は希の力が色々な面で伸びているし、たった1年では希を評価
できない。希の養護学校への転学の必要性は現時点では全く感じていない。と言って下さい
ました。その力強い言葉に後押しされ希ともう1年この学校で頑張ってみることに決めました。
もう1年やってみて無理があれば、又考えればいい…。そんな思いで2年生を迎えるにいたり
ました。

この頃の希は急激な環境の変化に戸惑い、やはりお薬なしでは夜眠れない状態でしたが
生活に馴染んだ2学期からは、お薬なしでも睡眠リズムがとれるようになりました。
 排泄に関しては、夏の間 学校ではパンツをはかせてS先生が頑張ってくださいましたが
小はほとんどが失敗に終わり、大だけは時々失敗はするけれどもトイレで成功することが増え
てきました。
 衣類については衣替えのときが大変で、長袖→半袖へ・半袖→長袖へのチェンジの時期に
着替えボックスの前で大騒ぎでした。ズボンは1年中同じ素材で柄違いの何本かの長ズボンを
はき通し。どんなに暑くても短いズボンは、はきませんでした。
 1年生が終わる時点でもまだ音声言語だけで、言葉はありませんが、こちらからの言葉だけ
の指示にしたがえることは増えてきました。